夢のマイホームの設計は、ワクワクと同時に「これで本当に大丈夫かな?」という不安もあるでしょう。間取りや内装材、設備選び…決めることは山ほどありますが、今回は、「地味だけど、暮らしの快適さを劇的に左右する」、それでいて「後悔ポイントのトップクラスに常にランクインする」コンセントの位置について、ベテラン設計士の視点から徹底的にアドバイスさせていただきます。
「え、コンセントなんて、電気屋さんが適当に付けてくれるんじゃないの?」
もしそう思っているなら、危険信号です!
🚨 確かに電気工事のプロはいますが、あなたの実際の暮らし方、未来のライフスタイルを予測してコンセントを配置できるのは、あなたと、その想いを共有する設計士だけ。
このブログを読み終える頃には、あなたは「コンセントの位置」を、単なる電気の差込口ではなく、「暮らしの動線と未来を形作る大切な要素」として捉えられるようになっているはずです。
PR 間取りプランもらえるサイト1. 「家具配置」より「コンセント」を先に考える
多くの人が犯す最初の失敗は、「家具を置いてから、必要に応じてコンセントを付ける」という考え方です。これだと、ソファの裏やベッドの陰に隠れてしまい、いざ使いたいときに届かない、なんてことになりがち。
💡 鉄則:間取りが決まったら、まずはすべての部屋で「主要な家具の配置」を具体的にイメージし、その上で「どこで何を使うか」をシミュレーションしながらコンセントの位置を決めましょう。
- テレビボード裏: TV、レコーダー、ゲーム機、ルーター、充電ステーションなど、想像以上に多くの配線が必要です。最低でも5口(できれば8口)のコンセントを、少し高めの位置(床から40〜60cm)に設置し、配線が隠れるように計画しましょう。
- ダイニングテーブル: ホットプレートや卓上IH調理器を使ったり、ノートPCで作業したりするかもしれません。テーブルの下にコンセントがないと、床を這う延長コードが非常に危険で見た目も悪いです。床コンセント(フロアコンセント)の採用も積極的に検討しましょう。
- 寝室: ベッドの両脇に、スマホやタブレットの充電用に必ず一つずつ。また、加湿器や電気毛布など、季節家電用も忘れずに。位置はナイトテーブルで隠れないよう、少し高めが便利です。
2. 「用途別」で考えるコンセントの高さ術
コンセントの高さは、実は非常に重要です。一般的な高さ(床から25cm程度)だけでは不便なシーンがたくさんあります。
用途 | 推奨される高さ(床から) | ポイント |
掃除機・一般家電 | 25〜30cm | 最も標準的な高さ。 |
テレビ裏・カウンター | 40〜60cm | 配線を隠しやすく、抜き差しもしやすい。 |
洗濯機・冷蔵庫 | 100〜110cm | 水濡れ防止と、家具に隠れない高さ。 |
エアコン | 180〜200cm | 天井近くで目立たない位置に。 |
書斎・PCデスク | 90〜100cm | デスクの天板から少し上に出ていれば、作業中に抜き差ししやすい。 |
玄関・飾り棚 | 100〜120cm | クリスマスツリーやハロウィンの飾りなど、季節の電飾用。 |
🔌 設計士の秘技: 頻繁に抜き差しする場所(キッチンカウンター、玄関など)には、少し高めの位置にコンセントを付けると、腰をかがめる回数が減り、体の負担が軽減されます。
これは特に年を重ねたときに実感する、未来へのやさしさです。
3. 「見えない場所」にも仕込む!隠しコンセントの極意
スッキリとしたインテリアを目指すなら、「隠す」コンセントの計画が鍵となります。
1. モップ掛けが楽になる!廊下・階段下
「廊下の掃除機がけ、コンセントが遠くて大変…」という声は多いです。廊下や階段の途中に、目立たない位置でいいので、掃除機専用のコンセントを一つ設置しましょう。
2. ルーター・モデム専用収納
インターネット回線のルーターやモデムは、常に電源が必要ですし、熱を持つので空気の流れも確保したい。しかし、見た目は無骨で生活感が出ます。
- 階段下の収納内 や 壁面収納の奥 に、専用のコンセントとLAN配管 を計画しましょう。扉を閉めても熱がこもらないよう、換気のための隙間を設けるのがプロの技です。
3. トイレのコンセントは「壁の中」に
ウォシュレットの電源コードは、便器の横でダラリとしがちです。
- ウォシュレット専用のコンセントは、便器の裏や側面の壁の、便器で隠れる位置 に設置してもらいましょう。コードが見えなくなり、非常にスッキリします。
4. 未来を見据えた「ゆとり」コンセント戦略
家は建てたら終わりではありません。5年後、10年後、あなたの暮らしは必ず変化します。その変化に耐えうる「ゆとり」を持たせることが、ベテラン設計士の責務です。
1. 屋外コンセントの重要性 🏡
- 庭の手入れ: 電動芝刈り機や高圧洗浄機を使うために、家の前後左右に最低2箇所は屋外コンセントを設置しましょう。
- 車の充電 (EV/PHV): 今は持っていなくても、将来的に電気自動車に乗り換えるかもしれません。駐車場には、将来EV充電器を設置するための専用配管(CD管)と、高容量のコンセント(200V)を計画することを強くお勧めします。後から追加するのは大変な工事になります。
- 防犯対策: センサーライトや屋外カメラの電源としても使えます。
2. 部屋の四隅にコンセントは必要か?
昔ながらの設計では「部屋の四隅に一つずつ」という考え方がありますが、現代の家具配置では非効率なこともあります。
しかし、一つだけ絶対に押さえてほしいポイントがあります。それは、**「壁の中心から少しずらした位置」**に設置すること。
- 理由:将来的に壁際に棚や家具を置いたとき、コンセントが家具のど真ん中に隠れてしまうのを防げます。少しずらしていれば、家具を少し移動させるだけでコンセントが使える余裕が生まれます。
3. 一つのコンセントは「2口」ではなく「3口」以上が基本
スマホ、タブレット、スマートスピーカー、空気清浄機、ロボット掃除機…。現代の暮らしは、とにかく充電が必要な機器だらけです。
- 迷ったら、すべて「3口」で計画してください。
- 特にキッチンカウンターやリビングの壁、寝室などは、4口タイプや、USBポート付きのコンセントを採用すると、アダプターを使わずに充電できて、さらに便利になります。
5. 最後のチェックリスト:あなたの「後悔」を「満足」に変える
間取り図を見ながら、以下の質問にYESと答えられるか確認してみてください。
- キッチン: 炊飯器、電子レンジ、トースター、電気ケトルを同時に使えますか?作業スペースの近くにハンドミキサーやミキサー用のコンセントはありますか?
- 洗面所: ドライヤー、電動歯ブラシの充電、ヒーターを同時に使うためのコンセントはありますか?(ドライヤーは高容量なので専用回路を推奨)
- リビング: 携帯電話を充電しながら、同時に加湿器やアロマディフューザーを使う場所は確保できていますか?
- 玄関: ロボット掃除機の基地となる場所の近くにコンセントはありますか?
- 将来: 階段に昇降機を設置する、または書斎に電動昇降デスクを導入する、といった大きな変化に耐えうるコンセントの準備はできていますか?
結びに
コンセントは、壁にポツンと開いた小さな穴ですが、そこから供給される電力は、あなたの暮らしを豊かにするエネルギーです。
設計段階でちょっと立ち止まって、「ここで、私は何をするだろう?」「この機器を、いつまで使うだろう?」と想像するひと手間が、10年後のあなたの笑顔に繋がります。
ぜひこのブログを参考に、ストレスフリーで快適なマイホームを実現してください。もし迷うことがあれば、遠慮なく設計士に相談してくださいね。あなたの理想の家づくりを、心から応援しています!
ここまで読んでいただきありがとうございました。
以上、コロコロでした!
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