外壁塗装は、建物を長持ちさせ、美観を保つために欠かせない重要なメンテナンスです。しかし、その一方で、「こんなはずではなかった」「思っていた仕上がりと違う」といった外壁塗装トラブルも少なくありません。
私はこの道一筋で数多くの現場を見てきたベテランです。今回は、長年の経験から実際に遭遇した外壁塗装トラブルの事例と、それを未然に防ぎ、もし起きてしまった場合の適切な対処法について、具体的な体験談を交えながら徹底的に解説します。
PR 外壁塗装一括見積りサイトを見に行く第1章:よくある外壁塗装トラブル事例とその原因
外壁塗装トラブルは、大きく分けて「施工品質に関するもの」と「契約・費用に関するもの」の2種類があります。
1. 施工品質に関するトラブル事例
これは、お客様が最も心配される部分でしょう。残念ながら、手抜き工事や技術不足によるトラブルは後を絶ちません。
事例1:塗膜の剥がれ・膨れ(早い段階での不具合)
- 症状: 施工後数ヶ月~1年程度で、塗装した塗膜が剥がれたり、水ぶくれのように膨れたりする。
- 原因:
- 高圧洗浄不足: 既存の汚れやチョーキング(粉状になった塗料)が十分に除去されていない状態で塗装した。
- 乾燥時間の不足: 下塗りや中塗りの乾燥時間を守らず、急いで次の工程に進んでしまった。
- 下地処理の不備: ひび割れ(クラック)や欠損箇所の補修が不十分だった。
- 塗料の希釈ミス: 塗料を規定以上に薄めて、材料を節約した(手抜き工事の典型)。
【体験談】 以前、他社で施工されたばかりのお客様から「壁が水ぶくれになった」とご相談を受け、現場調査に行ったことがあります。原因は、高圧洗浄後の乾燥時間が全く取られていなかったこと。湿った下地の上に塗料を乗せてしまったため、内部の水分が蒸発しようとして塗膜を押し上げ、膨れが発生していました。プロの仕事として絶対にあってはならないミスです。
事例2:色ムラ・艶ムラ
- 症状: 塗り終えた壁面の色が均一でなかったり、光の当たり方で部分的に艶が違って見えたりする。
- 原因:
- 塗り回数の不足: 基本の「下塗り・中塗り・上塗り」の3回塗りを守らなかった。
- ローラーの動かし方: 職人の技術不足により、塗料の量が均一にならなかった。
- 塗料の攪拌不足: 塗料缶の底に沈んだ顔料が十分に混ざっていなかった。
事例3:飛散・汚損
- 症状: 塗料が窓や車、植栽、近隣の建物などに飛び散って汚してしまった。
- 原因:
- 養生(ようじょう)不足: 塗装しない箇所を保護するビニールやテープの設置が不十分だった。
- 強風時の施工: 天候判断ミス。
2. 契約・費用に関するトラブル事例
費用の透明性や業者とのコミュニケーション不足から生じるトラブルです。
事例4:追加費用の発生
- 症状: 契約にはなかった足場代や下地補修代などが、後から請求された。
- 原因:
- 見積もり時の調査不足: 契約前に建物の劣化状況を詳細に確認していなかった。
- 口頭での指示: 契約書に記載されていない作業を、口頭でのやり取りだけで進めてしまった。
事例5:保証内容に関する認識の相違
- 症状: 不具合が発生した際、業者が「それは保証対象外」として無償での補修に応じない。
- 原因:
- 保証書の内容確認不足: 契約時に保証の「期間」「範囲」「条件」をしっかり把握していなかった。
- 業者の倒産: 塗装業者に瑕疵があったとしても、倒産していれば保証を受けられない。
【体験談】 一度、契約の段階でお客様が「総額が安いから」と飛びついた業者さんが、工事が始まった途端に「ここも直さないとダメ」「これは見積もりに入っていない」と、毎日数万円単位で追加費用を要求し始めた事例を知っています。結局、当初の金額より100万円以上高くなり、お客様は精神的にも疲弊されていました。「安すぎる見積もり」には必ず裏があります。
第2章:外壁塗装トラブルを未然に防ぐための5つのチェックリスト
外壁塗装トラブルは、事前の準備と業者選びで9割方防ぐことができます。以下の5点を徹底しましょう。
- 相見積もりは3社以上: 価格だけでなく、提案内容、使用塗料、保証内容、担当者の対応を比較検討する。極端に安い業者は手抜きのリスクが高い。
- 現地調査の立ち会い: 調査時に劣化状況を一緒に確認し、業者がどこまで把握しているかを見る。床下や屋根裏まで入念にチェックするかを観察しましょう。
- 「3回塗り」と「工程」の確認: 見積書に「下塗り」「中塗り」「上塗り」の各工程と使用する塗料名が明記されているかを確認する。工程写真の提出を義務付けましょう。
- 契約書・保証書の徹底確認:
- 金額: 追加費用が発生する場合の条件を明記させる。
- 期間: 施工期間と保証期間を確認する。
- 内容: **保証の適用範囲(自然災害は対象外が多い)**を理解する。
- 地域の評判と実績の確認: 地元で長く営業しているか、施工事例は豊富か、口コミや評価はどうかを確認する。
第3章:もしトラブルが発生した場合の適切な対処法
万が一、外壁塗装トラブルに遭遇してしまった場合は、冷静に、かつ迅速に対応することが重要です。
ステップ1:証拠の保全と業者への連絡
- 写真・動画で記録: 塗膜の剥がれ、色ムラ、飛散箇所など、不具合の状況を詳細に写真・動画で記録します。日付を入れておくと良いでしょう。
- 書面で通知: 電話だけでなく、証拠が残るよう「いつ、どこに、どのような不具合が発生しているか」を具体的に記載した書面(メールや内容証明など)で業者に補修を要求します。
ステップ2:保証書に基づいた交渉
- 契約時の保証書を確認し、不具合が保証期間・保証内容に該当するかどうかを主張します。
- 業者が補修に応じない、または応じた補修も不十分な場合は、第三者の介入を検討します。
ステップ3:第三者機関への相談
自力での解決が難しいと感じたら、以下の機関へ相談しましょう。
- 住宅リフォーム・紛争処理支援センター: 専門家によるアドバイスや、紛争処理の依頼が可能です。
- 消費者センター: 契約に関するトラブルについて相談できます。
- 地元の信頼できる別の塗装業者: トラブルの状況を公正に判断してもらうためのセカンドオピニオンを求めます。
まとめ:ベテランからのメッセージ
外壁塗装トラブルは、お客様の大切な資産を守るためにも絶対に避けたい事態です。
「価格だけで選ばない」「工事内容を理解する」この2点が、トラブルを回避する最大の秘訣です。
私自身、お客様に心から「ありがとう」と言っていただける丁寧で正直な仕事を心がけています。外壁塗装は、単に色を塗る作業ではありません。建物の寿命を延ばし、ご家族の暮らしを守るための大切な工事です。
不安な点があれば、すぐに業者に質問してください。誠実な業者であれば、どんな質問にも丁寧に答えてくれるはずです。この記事が、あなたの外壁塗装を成功させる一助となれば幸いです。
ここまで読んでいただきありがとうございました
以上、コロコロでした!
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